吐く息の音でさえ、階下の両親に聞かれそうな気がして恐ろしいのに、
交わることはやめられない。
布団をかぶり、声を殺しながら、繋がる。
ベッドがきしむ音も出さぬよう、
ゆっくりと、長い長い時間をかけて
お互いの身体をむさぼりあうように、
少しずつ、絶頂に近づいていく。
やがて、そのときが来るころには、
二人とも意識が朦朧としている。
意識などなくても、お互いもう何も言わなくても、
その瞬間をシンクロさせることができる。
お互いの背にまわした腕に力が入る。
脚を相手の脚に絡める。
舌は、さっきからずっと絡まりあったまま。
二人の間が一部のすきもなく密着したところで、
完全に、動きが止まる。
ただ、結合部だけがビクビクと痙攣して
精子を子宮に運ぶ。
兄の性器と妹の性器が協力し合って、
精子を子宮に運ぶ。
………
無言の行為が終わり、
ゆっくりと、なるべく音を立てないように息を吐き、吸う。
酸欠で遠のいていた意識が、ゆっくりと戻ってくる。
心臓の鼓動がいまさらのように大きく聞こえてくる。
そのまま長い間抱き合ったあと、
兄は、体をずらして妹の隣に横たわる。
妹の中から抜いた肉棒が、だらりと倒れている。
布団の中は暑く湿りきっているが、
二人はそこから出ようとはしない。
「した」後は、いつも階下の両親のことを考えてしまう。
どんなに暑くても、布団をかぶってする。
声が漏れないように、唇はずっと合わせたままでする。
ティッシュを抜く音を立てるのが嫌で、
膣奥に射精して流れ出なくなるまでじっとしていることにした。
それでも、
抗えなかった欲情の残り香と、後悔と、
強すぎる愛情が入り混じったじっとりした時間を、
二人はいつもすごすことになる。
兄は、妹の身体がはみ出さないように布団をかけなおす。
少しだけ、外の空気が二人の身体の隙間に入る。
妹は、兄にしがみつく。
ひやりとした感触が、裸で抱き合っていることを思い出させる。
すぐにお互いの体温によってその感触は消える。
妹が、意を決したように顔を上げ兄を見る。
何か喋るために息を吸ったことに、兄も気づく。
妹の目が、甘やかに潤んでいる
妹の唇が動く。
DL
あれほど神経質に音を立てることをいやがっていた妹が、
はっきりと、口に出して兄に思いを伝えたのだ。
兄は、体中にこみ上げてくるものが何なのか、良く分からなかった。
ただ、強く、妹を抱きしめる。
妹は、兄が声に出して返事をくれなかったことを少しだけ不満に思いながらも、
兄の肩に顔をうずめた。
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